【葵】
「ふぅぅぅぅぅぅぅ…………せいやぁぁっ!!」



息を大きく吸い込んで、渾身の一撃をお見舞いする。

相手の勢いを利用して、腹部に思いっきり叩き込む中段前蹴り――

かつて、私が一番得意だった必殺技。

【門下生1】
「うぐっ…………ぐっ……がはぁぁぁっ!!」

門下生が腹部を押さえながら、悶絶している。

【葵】
(本気で打ったはずなのに……気絶すらさせられないなんて……)



今までだったら、これ一発で相手を失神させられていたはず。

しかも、相手の勢いを100%利用していて、威力は抜群のはずなのに……。

【門下生2】
「あれ? 葵さん? ひょっとして、腕落ちてません?」

【門下生3】
「そうそう……まるで稲妻みたいだった葵さん必殺の中段前蹴りが
 この程度の威力しかないなんて……ガッカリです!!」

どんどん数を増していく門下生たち――

マズイ……このままでは確実に負けてしまう!!

【葵】
「くうぅぅ……んんっ!! はっ!! せいやぁぁぁっっ!!」



【門下生2】
「ぐっ……くっ…………!!」

だけど、相手の方も稽古をサボっていたのか、
思っていた程、力の差は感じない。

動いているうちに、徐々に体が動きを思い出してきている!!

【葵】
(いける!! これなら、勝てる!!)